開業タイプ診断(2分)
開業の手続き

出張買取のクーリングオフ。8日間は、手元に置いておく。

お客様の家に伺って買い取る取引は訪問購入にあたり、特定商取引法がかかります。中でも実務に効くのが8日間のクーリングオフです。法律は転売そのものを禁じてはいませんが、8日以内に手放すと、通知の手間と、解除されたときに取り戻せない危険を背負います。知らずに始めると事故になります。

佐藤さん(開業を検討中)出張買取のクーリングオフって、どう対応すればいいんですか?

先に結論安場さん
  • 出張買取にもクーリングオフがあります。
    特定商取引法の訪問購入にあたり、お客様は契約書面を受け取った日から8日間、無条件で契約を解除できます
  • 転売は禁止ではありません。
    ただ8日以内に第三者へ引き渡すと、お客様と引渡し先への通知が要り、解除されたときに品を取り戻せない危険があります
  • だから8日間は手元に置くのが安全です。
    その間の相場変動と資金の寝かせを、計算に入れます
  • お客様はその場で品物を渡さないと言うこともできます。
    これを告げる義務があります

どの取引が対象か

対象になるのは、事業者が消費者の自宅などに出向いて物品を買い取る取引(訪問購入)で、お客様に呼ばれて伺った出張買取も含みます。
呼び方は関係ありません。
出張買取、訪問買取、押し買い。
やっていることが同じなら、同じ規制がかかります。

取引の形訪問購入にあたるか
お客様の家に伺って買うあたります。
依頼を受けて伺った場合も同じです
店舗にお客様が持ち込むあたりません。
店頭買取は対象外です
宅配で送ってもらって買うあたりません。
訪問していないためです
催事の会場で買う訪問購入にはあたりませんが、古物営業法の場所の制限がかかります
事業者から買うあたりません。
相手が消費者である場合の規制です
お客様から呼ばれた場合も対象です 「頼まれて行ったのだから押し買いではない」という理解は誤りです。
依頼を受けて伺った出張買取も、訪問購入にあたります。
店頭と宅配だけが対象外だと覚えてください。

現場でやるべき4つ

現場でやるべきことは、依頼を受けてから伺う、玄関で名乗って目的を告げる、契約書面をその場で渡す、引渡しを拒めると伝える、の4つです。

1 訪問の前に、依頼を受けておく 事業者から一方的に訪問して買い取ることは禁止されています(不招請勧誘の禁止)。
お客様からの依頼が先にあることが前提です。
なお、依頼を受けた品以外について勧誘することも制限されます。
金の依頼で伺って、バッグも売ってくださいと持ちかけるのは、この規制に触れます。
2 入る前に、名乗って目的を告げる 会社名、担当者名、買い取りに来たこと、そして買い取ろうとする物品の種類を 玄関で告げます。
これは義務です。
3 契約書面を、その場で渡す 買い取ったら、その場で書面を交付します。
品名、金額、事業者の情報、そして クーリングオフができることと、その方法を記載します。
渡していなければ、8日間の起算が始まりません。
4 引渡しを拒める、と伝える ここが見落とされやすい点です。
お客様には、クーリングオフ期間中は品物を渡さないでおく権利があります。
事業者にはこれを告げる義務があります。
「今日は預からず、8日後に伺うこともできます」と言えるかどうかです。
お客様の家で品物を確認しているところ
玄関で名乗り、買い取る物の種類を告げる。
ここから訪問購入の手続きが始まります。

8日間は手元に置く理由

8日間手元に置くのは、期間内に手放すとお客様と引渡し先への通知が要り、解除されたときに品物を取り戻せない危険があるからです。
法律が転売そのものを禁止しているわけではありません。
ただし、クーリングオフ期間内に手放すと、次の負担がつきます。

決まり内容
お客様への通知(法第58条の11)期間内に品物を第三者に引き渡したときは、遅滞なく、お客様に第三者の氏名・住所等を通知します
引渡し先への通知(法第58条の11の2)訪問購入で受け取った品であること、クーリングオフができること、その期間等を、決められた様式の書面で第三者にも通知します
お客様の引渡し拒絶(法第58条の15)お客様は期間内、品物の引渡しを拒めます。
事業者は直接受け取るとき、これを告げます(法第58条の9)
クーリングオフされたら、品物を返す必要があります 8日以内に手放した品は、解除されても手元にありません。
取り戻せなければ、代金を返したうえで品物を返せないという事態になります。
だから、8日間は手元に置いておくほうが安全です。

これが何を意味するか、資金の面で見ます。

店頭買取の場合 買った翌日に市場へ出せます。
数日で現金が戻るため、同じ資金を月に何度も回せます。
出張買取の場合 8日間は手元に置きます。
そのあと市場に出して換金するので、 現金が戻るまで2週間前後を見る必要があります。

手元に置く前提なら、出張買取を主軸にする場合、 店頭買取より多くの運転資金が要ります。
月に300万円ぶん買うなら、常時それに近い金額が 在庫として止まっている状態を前提に組んでください。

あわせて、8日間の相場変動も自分で背負います。
金や貴金属のように相場で動く品は、買った日と売る日で値が変わります。
開業資金を計算するときは、この8日間の寝かせと相場の幅を入れてください。
売上は立っているのに現金がないという状態は、ここからも生まれます。

対象から外れる品目

訪問購入の対象から外れるのは、自動車(二輪を除く)、持ち運びが簡単なものを除く家電、家具、書籍・CD・DVD・ゲームソフト、有価証券などで、政令で決まっています。

除外されているもの理由
自動車(二輪を除く)別の取引慣行が確立しているため
家電(持ち運びが簡単なものを除く)持ち去りが容易でないため
家具同上
書籍・CD・DVD・ゲームソフト単価が低く、取引が定型的であるため
有価証券別の法令で規律されるため
貴金属、ブランド品、時計は除外されていません 買取業でよく扱う品は、ほぼすべて対象です。
「うちは小さい物しか買わないから関係ない」という理解は逆で、 小さくて価値の高い物こそ、この規制の中心にあります。
押し買いの被害が多かった品目だからです。

実際の運用

運用で先に決めておくのは、書面の用意、玄関で言う内容、8日間の在庫の置き場所、台帳への8日目の記入の4つです。

そして、これは規制の話であると同時に、 信用の話でもあります。

押し買いの被害が社会問題になったからこの法律ができました。
つまりお客様の側には、 家に来る買取業者への警戒が最初からあります。

玄関で名乗り、書面を渡し、8日間は考え直せますと伝える。
これをきちんとやる業者は、それだけで他と区別されます。
面倒な義務としてではなく、信用を作る手順として使ってください。
出張買取は紹介が最も起きやすい形です。
その紹介は、金額より先に「安心して任せられた」という記憶から生まれます。

よくある質問

出張買取にクーリングオフはありますか。
あります。
出張買取は特定商取引法の訪問購入にあたり、消費者は契約書面を受け取った日から8日間、無条件で契約を解除できます。
お客様から依頼を受けて伺った場合も対象です。
対象外になるのは店頭買取と宅配買取だけです。
クーリングオフ期間中に買い取った品を売ってもよいですか。
法律が転売そのものを禁止しているわけではありません。
ただし期間内に品物を第三者に引き渡したときは、遅滞なくお客様に第三者の氏名・住所等を通知する義務があり(法第58条の11)、引渡し先にも、訪問購入で受け取った品であることやクーリングオフができることを決められた様式の書面で通知しなければなりません(法第58条の11の2)。
クーリングオフされると品物を返す必要があるため、8日以内に手放すと取り戻せない危険を負います。
8日間は手元に置くのが安全で、その間の相場変動と資金の寝かせを計算に入れてください。
お客様から依頼を受けて伺った場合も対象ですか。
対象です。
頼まれて行ったのだから押し買いではないという理解は誤りで、依頼を受けた出張買取も訪問購入にあたります。
なお、依頼を受けた品以外について勧誘することも制限されるため、金の依頼で伺ってバッグも売ってくださいと持ちかけるのは規制に触れます。
現場で何をすればいいですか。
訪問前に依頼を受けておくこと、玄関で社名と担当者名と買い取りに来たことと買い取る物品の種類を告げること、買い取ったらその場で契約書面を交付すること、そしてクーリングオフ期間中は品物を渡さないでおく権利があることを伝えることの4つです。
書面を渡していなければ8日間の起算が始まりません。
訪問購入の対象外になる品物はありますか。
自動車の四輪、持ち運びが簡単なものを除く家電、家具、書籍やCDやDVDやゲームソフト、有価証券などが政令で除外されています。
ただし貴金属、ブランド品、時計は除外されていません。
買取業でよく扱う品はほぼすべて対象で、小さくて価値の高い物こそこの規制の中心にあります。
8日間の在庫はどう管理すればいいですか。
通常の在庫と物理的に分けて保管してください。
混ざると、うっかり引き渡してしまう事故が起きます。
あわせて古物台帳に買取日と8日目を併記しておくと、いつから動かしてよいかが一目で分かります。
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この記事は消費者庁の特定商取引法ガイド「訪問購入」(https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorpurchases/、2026年10月5日確認)および特定商取引法(第58条の11・第58条の11の2・第58条の14)・同法施行令第33条・第34条(e-Gov法令検索、2026年10月8日確認)の内容をもとに書いています。除外される品目や運用は改正される場合があります。実際の運用にあたっては消費者庁の案内および専門家にご確認ください。

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