開業の手続き
自宅で買取店を開業する。壁になるのは、賃貸のときだけです。
自宅を営業所にして古物商許可を取ることはできます。持ち家ならほぼ問題になりません。つまずくのは賃貸で、使用承諾書が要るかどうかで話が変わります。断られたときの代わりの手まで書きました。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年9月8日
更新 2026年10月8日

佐藤さん(開業を検討中)買取店を自宅で開業しても、問題ないんでしょうか?
先に結論安場さん
- 自宅を営業所にして古物商許可は取れます。
持ち家ならほぼ通り、賃貸は警察署によって所有者か管理会社の使用承諾書を求められます
- 使用承諾書が要るかどうかは警察署と物件によります。
管理会社に頼む前に、管轄の警察署に確かめてください
- 承諾がもらえなければ親族の持ち家か、小さなテナント。
住所だけのバーチャルオフィスは原則として通りません
- 自宅開業で本当に困るのは許可ではなく、お客様を呼べないことです
自宅でも許可は取れる
自宅を営業所にしても、古物商許可は取れます。
古物商許可の申請では営業所の所在地を書きます。
この営業所が自宅であっても、法律上の問題はありません。
実際、買取業を一人で始める方の多くは自宅から始めています。
警察が見ているのは、そこが実際に営業の拠点として使える場所かという一点です。
具体的には次のような点を確認されます。
確認されること意味
継続して使えるか短期間で出ていく前提の場所は認められにくくなります
古物を保管できるか買った品を置ける場所があるかどうか
プレートを掲げられるか営業所には古物商プレートを見やすい場所に掲示します
帳簿を置けるか古物台帳は営業所に備えます
独立性があるか他人と共用する空間だけ、という状態は指摘されることがあります
持ち家であれば、この5つは自然に満たせます。
申請書に自宅の住所を書き、間取り図を添えて出せば、それで進みます。
賃貸の場合にだけ出てくる壁
賃貸住宅の場合、警察署によっては、所有者または管理会社の使用承諾書を求められます。
「この部屋を古物商の営業所として使ってよい」という一筆です。
ここでつまずく理由は単純で、
多くの賃貸契約が住居専用となっているからです。
管理会社としては、契約と違う使い方を認めるかどうかの判断になります。

求められるかどうかは、地域によって違います
使用承諾書を必ず出させる警察署もあれば、賃貸借契約書の写しだけで通る署もあります。
先に管理会社へ相談する前に、管轄の警察署に必要書類を確認してください。
要らないものを取りに行って、話をこじらせる必要はありません。
承諾をお願いするときは、何をする商売なのかを具体的に伝えるほど通りやすくなります。
伝え方の例を挙げます。
-
不特定多数の来客はないと伝える
自宅で接客するのではなく、出張買取と郵送が中心である。
店として看板を出して人を集めるわけではない。
管理会社が最も気にするのはここです。
-
置く物の性質を伝える
扱うのは貴金属やブランド品などの小さな品で、
大型の家具や家電を積み上げるわけではない。
騒音、臭い、重量が出ないことをはっきり言います。
-
掲示物について確認する
古物商プレートは営業所に掲示する義務がありますが、
玄関の外に大きく出す必要はありません。
室内の見やすい場所で足ります。
ここを心配される方が多いので先に言います。
承諾がもらえなかったとき
承諾がもらえなかったときは、親族の持ち家を借りるか、事業用の小さなテナントを借りるのが現実的です。
住所だけを借りるバーチャルオフィスは、原則として認められません。
親族の持ち家を借りる
実家の一室を営業所にする形です。
所有者が親族であれば承諾は取りやすく、
実体のある建物なので審査も通りやすくなります。
現実的には最も多い解決策です。
小さなテナントを借りる
事業用の契約であれば、承諾の問題は起きにくくなります。
月数万円の小さな物件でも営業所として成立します。
家賃という固定費が乗る点だけ、先に計算してください。

バーチャルオフィスは、原則として認められません
住所だけを借りる形は、古物を保管できず、帳簿も置けないため、
営業所の要件を満たさないと判断されるのが一般的です。
格安のレンタル住所で許可を取ろうとすると、申請の段階で止まります。
個室を実際に使えるタイプのレンタルオフィスであれば通ることもありますが、
これも警察署ごとに判断が分かれます。
事前に確認してください。
| 営業所にする場所 | 許可の通りやすさ | 気をつけること |
| 持ち家(自宅) | ほぼ通る | 古物の保管場所と生活の場所を分けておくと、説明しやすい |
| 賃貸(住居) | 警察署による | 使用承諾書を求められることがある。 先に警察署に確認 |
| 親族の持ち家 | 通りやすい | 所有者が親族なので、承諾を取りやすい |
| 小さなテナント(事業用) | 通りやすい | 承諾の問題は起きにくいが、家賃が固定費になる |
| 個室のレンタルオフィス | 警察署による | 個室を実際に使えるタイプに限る。 事前に確認 |
| バーチャルオフィス | 原則として通らない | 古物を保管できず、帳簿も置けない |
自宅開業で本当に困ること
自宅開業で本当に困るのは、許可ではなく、お客様に来てもらえないことです。
ここまでは手続きの話でした。
看板のない住宅に、見知らぬ人が品物を持って訪ねてくることはまずありません。
だから自宅開業の場合、買取の入り口は自然と出張買取になります。
これは悪いことではありません。
むしろ、
家賃をかけずに始められて、お客様の家にある物をまとめて見られるという利点があります。
ただし、そのぶん求められるものが変わります。
- 店なら「持ち帰って調べます」が使えますが、出張先ではその場で値段を言う必要があります
- お客様の目の前で判断するため、迷いがそのまま信用に響きます
- 1軒で何が出るか分からないため、扱える商材の幅がそのまま売上になります
つまり、自宅開業を選ぶということは、
店舗の費用を減らす代わりに、査定の力で勝負すると決めることです。
場所の費用が下がったぶんを、どこに使うかという話になります。
よくある質問
- 賃貸のアパートやマンションでも古物商許可は取れますか。
- 取れます。
ただし警察署によっては所有者または管理会社の使用承諾書を求められます。
賃貸借契約書の写しだけで足りる署もあるため、管理会社に相談する前に管轄の警察署へ必要書類を確認してください。
- 使用承諾書は誰にもらえばいいですか。
- 物件の所有者です。
実務上は管理会社を通して依頼します。
書式は決まっていないことが多く、警察署に見本が置かれている場合もあります。
申請先の署で書式の有無を確認してから依頼すると話が早く進みます。
- バーチャルオフィスの住所で申請できますか。
- 原則として認められません。
古物を保管できず、古物台帳も備えられないため、営業所としての実体がないと判断されます。
個室を実際に使用できるタイプのレンタルオフィスであれば認められることもありますが、判断は警察署によって分かれます。
- 自宅の住所は公開されますか。
- 買い取った品をネットで売る(通信販売する)場合は、特定商取引法の表示として、原則として住所を載せることになります。
自宅を営業所にしているとその住所です。
公開したくない場合は、古物市場や対面での販売を中心にした形も選べます。
「請求があれば遅れずにお知らせします」と表示して広告から住所を省く方法もありますが、別の住所を使う場合は、実際に連絡がつく場所である必要があります。
なお、ホームページを使って古物の取引をする場合は、古物営業法の決まりで、氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号を、扱う古物の情報と一緒に自分のサイトに載せます。
この表示に住所は含まれません。
- 家族が同居していても大丈夫ですか。
- 問題ありません。
ただし古物の保管場所と、家族の生活空間が混ざらないようにしてください。
買い取った品はお客様からお預かりしたものと同じ扱いです。
紛失や破損は自分の責任になります。
- 自宅を営業所にしたまま、あとで店舗を出せますか。
- 出せます。
営業所を追加する場合は、追加する日の3日前までに変更届を出します。
新しく許可を取り直す必要はありません。
まず自宅と出張で始めて、買取が回るようになってから店舗を出す順番は、資金の面では合理的です。
この記事は2026年9月時点の古物営業法および実務をもとに書いています。ホームページでの表示は古物営業法第12条第2項・第3項(同施行規則第13条の2)、通信販売の表示は特定商取引法第11条(消費者庁)によります。営業所の追加の届出の期限は、古物営業法第7条第1項と同施行規則によります。営業所の要件および提出書類の運用は都道府県および警察署によって異なります。実際の申請にあたっては管轄の警察署にご確認ください。