お金と契約
買取フランチャイズは儲かるのか。収支モデルを、分解します。
説明会で出てくる収支モデルは、計算としては成り立っていることが多いです。問題は、その数字に到達する店と、しない店の差がどこにあるかです。売上ではなく粗利で見る理由、月にいくら粗利があれば黒字か、ロイヤリティが効いてくる場面を数字で分解しました。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年9月8日
更新 2026年10月8日
この記事は加盟を検討している方向けです。
買取フランチャイズの説明会に行った、あるいはこれから行く方に向けて書いています。
当社はフランチャイズの募集をしていません。
買取フランチャイズは、月の粗利が固定費を超えれば儲かり、下回れば儲からない商売です。
家賃・人件費・広告費・その他・ロイヤリティで月90万円かかる店なら、1件あたりの粗利2万円で月45件が黒字の分かれ目です(下の収支モデルの例)。

佐藤さん(開業を検討中)買取フランチャイズって、本当に儲かるんですか?
先に結論安場さん
- 儲かるかどうかは月の粗利が固定費(例では90万円)を超えるかで決まります
- 収支モデルは売上ではなく粗利で見てください。
買取業の売上には買値が含まれます
- 儲かる店と儲からない店の差を大きく分けるのは件数より1件あたりの粗利です
- ロイヤリティが効いてくるのは調子が悪い月です。
良い月ではありません
収支モデルを分解する
収支モデルは、粗利から固定費を引いて読みます。
下の例では、月の粗利90万円が黒字と赤字の分かれ目です。
説明会でよく提示される形を置きます。
月商という言葉が出たら、それが売上なのか粗利なのかを必ず確認してください。
買取業では、この2つがまったく違います。
項目好調な月不調な月
買取件数60件35件
1件あたりの粗利20,000円15,000円
粗利の合計1,200,000円525,000円
家賃−150,000円−150,000円
人件費−350,000円−350,000円
広告費−200,000円−200,000円
その他経費−100,000円−100,000円
ロイヤリティ−100,000円−100,000円
営業利益300,000円−375,000円
同じ店です。
違うのは件数と1件あたりの粗利だけ。
これで67万5千円の差が出ます。

固定費は変わらないことに注目してください
家賃、人件費、広告費、その他経費、ロイヤリティ。
合計90万円が、買えても買えなくても毎月出ていきます。
つまり月90万円の粗利が、黒字と赤字の分かれ目です。
1件2万円なら45件。
この45件を割った月がどれだけあるかで、年間の結果が決まります。
分かれ目の件数は、1件あたりの粗利とロイヤリティの額で動きます。
上の例(ロイヤリティ月10万円)と、ロイヤリティが月20万円の場合を並べました。
1件あたりの粗利固定費90万円
(ロイヤリティ10万円)固定費100万円
(ロイヤリティ20万円)
12,000円月75件月84件
15,000円月60件月67件
20,000円月45件月50件
25,000円月36件月40件
計算は固定費 ÷ 1件あたりの粗利で、端数は切り上げています。
ロイヤリティ以外の固定費は、上の例と同じ80万円で計算しています。
買取大吉は月20万円前後(税別)が目安とされています。
おたからやはプランにより月額約16.5〜38.5万円で、広告協賛費は別です。
説明会でもらった数字を、この式に入れてみてください。
儲かる店と、儲からない店の差
儲かる店と儲からない店の差は、ほぼ1件あたりの粗利で決まります。
同じ看板、同じ研修、同じ売り先でも、結果は分かれます。
下の表は、件数を月50件にそろえ、固定費90万円(上の例)で計算したものです。
1件あたりの粗利月50件の粗利営業利益
12,000円600,000円−300,000円
20,000円1,000,000円100,000円
25,000円1,250,000円350,000円
件数はどれも同じ50件です。
来店数も、広告費も、働く時間も変わっていません。
変わったのは、来た1件から何を買えたかだけです。
12,000円の店
金しか買えていません。
お客様が時計や指輪も持ってきているのに、
判断できないので金だけを買って終わります。
残りは他店に流れます。
25,000円の店
金、時計、宝石、切手まで見られます。
同じ1件の来店で、拾える点数が違う。
そして高く買えるので、次も持ってきていただけます。
金だけの店の1件あたりが伸びないのには、理由があります。
当社および提携店の実績では、商材ごとの粗利率に次の開きがあります。
商材粗利率の目安換金まで
金・プラチナ(地金)5〜15%数日
高級時計10〜20%1週間〜1ヶ月
ブランドバッグ15〜30%1週間〜1ヶ月
宝石つきジュエリー20〜40%2週間〜
切手・古銭20〜40%2週間〜
地金は相場が公開されているため、どの店でも粗利が薄くなります。
1件あたりの粗利を押し上げるのは、宝石や切手のように値付けに目利きが要る品です。
地域や仕入れ方、品物の状態で変わるため、目安として見てください。

ここが、加盟では埋まりにくい部分です
本部が提供するのは、看板・売り先・研修・仕組みです。
しかしお客様の目の前で金額を言うのは、加盟店の人間です。
研修の期間と中身は、本部によって大きく差があります。
説明会では、研修が何日で、何をどこまで扱うのかを必ず確認してください。
ロイヤリティが効いてくる場面
ロイヤリティが重くなるのは、好調な月ではなく不調な月です。
ロイヤリティには主に3つの形があります。
どれを選ぶかで、悪い月の痛み方が変わります。
形好調な月不調な月
定額(月10万円)100,000円100,000円
粗利の10%120,000円52,500円
売上の3%算定基準を要確認算定基準を要確認
定額は、好調な月に得で、不調な月に重い。
粗利連動は、好調な月に多く払うかわりに、不調な月が軽い。
どちらが良いかは、売上が安定するかどうかで変わります。
買取業は、月ごとの振れ幅が大きい商売です。
チラシの反応、季節、相場。
読めない要素が多くあります。
立ち上がりの1年は、不調な月のほうが多いと考えてください。
売上の何%という条件は、算定の基準を必ず確認してください
買取業でいう売上は、買値を含んだ金額です。
100万円で買って120万円で売れば、売上は120万円、粗利は20万円。
この120万円に対して3%なら3万6千円。
粗利の18%です。
率の数字だけを見て小さいと判断すると、実際の負担を読み違えます。
何に対する何%なのかを、契約書の文言で確認してください。
加えて、ロイヤリティ0円をうたう本部もあります。
その場合、別の形で本部の収益が立っていると考えられます。
- 買い取った品を本部が引き取る形。
その仕切り値に本部の利益が乗ります
- 備品や消耗品を本部から購入する義務。
ここに乗せる形
- システム利用料、広告分担金。
名目が違うだけで固定費です
良し悪しの話ではありません。
月にいくら本部へ流れるかで比べてください。
名目ではなく、金額です。
説明会で聞くべき5つ
説明会で聞くべきは、収支モデルの出どころ・下位の店・閉店数・研修・集客の5つです。
どれも、上で見た分かれ目の件数に届くかどうかに直結します。
-
その収支モデルは、実在する店の数字か。
目標値なのか実績なのか。
実績なら、開店から何ヶ月目の数字かも聞いてください。
-
加盟店の平均ではなく、下位の店はどうなっているか。
平均は上位に引っ張られます。
うまくいっていない店が何割あるかを聞いてください。
-
直近1年で、閉店・解約した店は何店あるか。
答えがあいまいなら、数字を書面で出してもらえるか聞いてください。
-
研修は何日で、どこまで扱うか。
1件あたりの粗利を決めるのはここです。
座学だけか、実物を触るのかも確認してください。
-
集客はどちらの仕事か。
全国向けの広告は本部、地域のチラシや電話の受付は加盟店、と分かれていることが多く、
どこまでが本部の仕事かは本部ごとに違います。
広告協賛費などを払う場合は、その費用で何をしてもらえるのかも確認してください。
ここの認識がずれたまま加盟すると、もめる原因になります。
あわせて、やめるときの条件を読んでください
契約期間は5年が多く見られます。
中途解約の違約金は、残りの期間分のロイヤリティ相当額とする契約や、決まった月数分とする契約があり、本部によって違います。
たとえばロイヤリティ月15万円で残り3年分なら540万円です。
加盟金より大きくなることもあります。
解約後の競業避止(同じ商売を一定期間できるか)もあわせて確認してください。
契約前の書面の交付が法律(中小小売商業振興法)で義務になっているのは、小売業・飲食業のフランチャイズです。
買取はサービス業にあたるため、この義務はありません。
加盟店数の推移や訴訟の有無などをまとめた書面を、任意で出している本部もあります。
もらえるか、説明会で聞いてみてください。
最後に、加盟する・しないに関わらず変わらないことを書きます。
収支の差を作っているのは1件あたりの粗利で、
それを決めているのは目の前の一点に値段をつけられるかどうかです。
看板が変わっても、売り先が用意されても、この部分は動きません。
買える人が加盟すると早く伸び、買えない人が加盟すると固定費だけが残ります。
だから加盟の判断より先に、自分がどこまで判断できるのかを
確かめておくほうが、順番として安全です。
よくある質問
- 買取フランチャイズって本当に儲かるんですか?
- 月の粗利が固定費を超えれば儲かります。
家賃15万円・人件費35万円・広告費20万円・その他10万円・ロイヤリティ10万円で月90万円かかる店なら、1件あたりの粗利2万円で月45件が黒字の分かれ目です。
説明会の収支モデルは、売上ではなく粗利で読んでください。
- 買取専門店は儲からないって聞くけど本当ですか?
- 儲からない店があるのは事実ですが、差の多くは1件あたりの粗利で説明できます。
同じ月50件でも、固定費90万円の店で1件12,000円なら営業利益は30万円の赤字、25,000円なら35万円の黒字です。
金しか買えない店は、お客様が持ってきた時計や指輪を他店に流しています。
- 買取フランチャイズで失敗するのはどんなパターンですか?
- 多いのは、1件あたりの粗利が分かれ目に届かないまま固定費だけが出ていく形です。
あわせて、集客を本部がしてくれると思い込んでいた、解約時の違約金を読んでいなかった、という認識のずれも重なりやすいところです。
加盟前に、収支モデルの出どころと下位の店の数字を聞いてください。
- 買取フランチャイズのオーナーの年収はどれくらいですか?
- 店ごとの差が大きく、一律には言えません。
この記事の例では、同じ店でも好調な月は営業利益30万円、不調な月は37万5千円の赤字です。
収支モデルの人件費にオーナー自身の給料が入っているかも、説明会で確かめてください。
- ロイヤリティは定額と歩合、どっちがいいですか?
- 定額は好調な月に得で、不調な月に重くなります。
粗利連動の歩合はその逆です。
買取業は月ごとの振れ幅が大きく、立ち上がりの1年は不調な月のほうが多いと考えて、どちらが耐えられるかで判断してください。
売上に対する歩合の場合は、算定の基準を必ず確認してください。
- ロイヤリティ0円の本部ってどこで儲けているんですか?
- 別の形で本部の収益が立っていると考えられます。
買い取った品を本部が引き取る際の仕切り値、備品や消耗品の購入義務、システム利用料や広告分担金などです。
良し悪しではなく、月にいくら本部へ流れるかという金額で比べてください。
この記事の収支モデル(件数・1件あたりの粗利・固定費)と損益分岐の表は、説明のための仮の数字です。商材ごとの粗利率は、当社および提携店の実績をもとにした目安です。損益分岐の件数は、固定費を1件あたりの粗利で割り、端数を切り上げて計算しています。各社のロイヤリティは2026年8月時点の公開情報をもとにした目安です(買取大吉:月20万円前後・税別。おたからや:加盟案内のプラン別月額。広告協賛費は別途)。実際の条件と収支は各本部および店舗によって大きく異なります。加盟の判断にあたっては本部から受け取る資料と契約書をご確認のうえ、専門家にご相談ください。