開業の手続き
質屋と買取店の違い。許可も資金も、別物です。
どちらも品物を預かってお金を渡す商売に見えますが、根拠になる法律が違います。質屋には保管設備の基準や利息の上限があり、返済がなければ質流れで回収できるのは早くても3ヶ月後です。逆に質屋には、買取店にはない強みもあります。並べて比べました。
安場 達也古物査定の窓口 代表
買取業界歴15年以上。査定の現場から店舗の管理者、そして経営者まで、同じ道を順番に通ってきました。
北海道から沖縄まで、開業と店舗運営の支援実績があります。
大阪府公安委員会 古物商許可 第62229R076686号
公開 2026年9月8日
更新 2026年10月8日

佐藤さん(開業を検討中)質屋と買取店って、何がどう違うんですか?
先に結論安場さん
- 質屋と買取店の違いは、質屋は品物を預かってお金を貸す(質屋営業法)、買取店はその場で買い切る(古物営業法)ことです
- 許可の申請手数料は、質屋が22,000円、古物商が19,000円。
質屋には保管設備の基準と利息の上限(年109.5%、うるう年は109.8%)があります
- 質屋は、お客様が返しに来なければ、質流れで回収できるのは早くても3ヶ月後。
それまで貸したお金は寝かせる前提で用意します。
買取店は数日から数週間で売って現金に戻せます
- これから始めるなら、資金の面では買取店のほうが現実的です
何が違うのか
質屋はお金を貸し、買取店は品物を買う。
違いは、お金の渡し方です。
質屋は、貸す
品物を担保として預かり、お金を貸します。
お客様は期限までに元金と利息を払えば品物を取り戻せます。
払わなければ品物が質屋のものになります。
これを質流れといいます。
買取店は、買う
その場で品物を買い取り、代金を渡して終わりです。
お客様が取り戻すことはできません。
そのぶん話は単純で、渡した瞬間に取引が完結します。
この違いから、必要な許可も変わります。
質屋は貸金業に近い性質を持つため、規制が重くなっています。
並べて比べる
並べると、質屋のほうが規制が重く、手数料も高く、保管設備の基準まであります。
項目質屋買取店
根拠になる法律質屋営業法古物営業法
許可の名前質屋営業の許可古物商許可
申請先都道府県公安委員会都道府県公安委員会
手数料22,000円19,000円
許可の単位営業所ごと主たる営業所の公安委員会で1つ(他県の営業所は届出)
保管設備公安委員会の基準あり基準なし
利息の上限年109.5%(うるう年は109.8%。出資法の特例)該当しない
品物の流れ返済がなければ、早くても3ヶ月後に質流れその場で自社のもの
始めやすさ重い軽い

貸すための現金が、一番の壁です
質屋は、流質期限を質契約から3ヶ月未満で決めてはいけないと法律で決まっています(原則。質に入れる人が自分の扱う商品を質に入れる業者なら1ヶ月)。
お客様は期限前ならいつでも返して品物を受け戻せますが、返しに来なければ、質流れで回収できるのは早くても3ヶ月後です。
それまで貸したお金は寝かせる前提で用意します。
開業資金とは別に、貸し付けに回す現金を厚く用意する必要があります。
加えて、質屋には保管設備の基準があります。
お客様の所有物を預かる商売なので、
公安委員会が火災や盗難の予防のために定めた基準に合う保管設備を備える必要があります。
買取店にはこの基準がありません。
預かるか、買い切るか。
同じ品物でも、渡すお金の意味が変わります。
現金の回り方が逆になる
質屋は、返済がなければ質流れで回収できるのが早くても3ヶ月後。
買取店は数日から数週間で現金に戻ります。
ここが実務上、一番大きな違いです。
質屋は、お金を貸して、利息で稼ぐ商売です。
50,000円を貸して、期限までに元金と利息が戻る。
戻らなければ品物が自社のものになり、それを売って回収します。
お客様が返しに来なければ、回収できるのは早くても3ヶ月後。
それまで貸したお金は寝かせる前提です。
買取店は、買って、売って、差額で稼ぐ商売です。
50,000円で買い、数日から数週間で売って現金に戻す。
回転が速いぶん、同じ資金で何度も取引できます。
質屋の強み
お客様が品物を手放さずに済むという選択肢を出せます。
思い入れのある品を持つ方には、これが決め手になります。
買取店では出せない提案です。
買取店の強み
その場で完結するため、資金の回転が速い。
同じ100万円でも、年に何回転させられるかで結果が変わります。
保管設備の基準もありません。
これから始めるなら
資金と手続きの面では、買取店のほうが現実的です。
貸し付けの現金を寝かせる必要がなく、保管設備の基準もなく、許可は標準で約40日です。
ただし、どちらを選んでも必要になる力は同じです。

質屋も買取店も、値段をつけられなければ成立しません
質屋は、貸す金額を決めるために品物の価値を見ます。
買取店は、買う金額を決めるために品物の価値を見ます。
やっていることは同じです。
違うのは、そのあとお金をどう渡すかだけです。
実際、質屋の許可と古物商許可の両方を持ち、
お客様に選んでもらう形で営業している店もあります。
手放したい方には買取、取り戻したい方には質。
同じ査定の力から、二つの提案が出せます。
その場合も、先に取るのは古物商許可です。
保管設備の基準がなく、許可が下りれば買取だけですぐに回し始められます。
買取で査定の型ができてから質屋を足す、という順番のほうが
現金の面でも安全に進みます。
よくある質問
- 質屋と買取店は何が違いますか。
- 質屋は品物を担保にお金を貸す商売で、根拠になる法律は質屋営業法です。
買取店はその場で品物を買い取る商売で、根拠は古物営業法です。
質屋ではお客様が期限までに元金と利息を払えば品物を取り戻せますが、買取店では取り戻せません。
- 質屋を開業するのに何が必要ですか。
- 営業所ごとに、都道府県公安委員会の質屋営業の許可が必要です。
申請手数料は22,000円です。
公安委員会が火災や盗難の予防のために保管設備の基準を定めている場合は、それに合う設備を備えなければなりません。
加えて、お客様が返しに来なければ質流れで回収できるのは早くても3ヶ月後なので、それまで寝かせる前提で貸し付けに回す現金も必要です。
- 両方の許可を取ることはできますか。
- できます。
実際に両方を持ち、手放したいお客様には買取、取り戻したいお客様には質という形で提案を分けている店もあります。
ただし先に取るなら古物商許可です。
保管設備の基準がなく、買取だけなら早く回し始められます。
- 質屋のほうが利益率は高いですか。
- 一概には言えません。
質屋は利息で稼ぐため利率としては高く見えますが、お客様が返しに来なければ、質流れで回収できるのは早くても3ヶ月後で、それまで貸したお金は寝かせる前提です。
買取店は差額で稼ぐぶん利益率は薄くても、資金の回転が速くなります。
同じ資金を年に何回転させられるかで比べてください。
- 質流れした品物はどうなりますか。
- 期限までに元金と利息の支払いがなければ、その品物の所有権は質屋に移ります(質屋営業法第18条)。
これを質流れといい、その後は自社の商品として販売します。
つまり質屋も最終的には品物を売る力が必要になります。
- 結局どちらから始めるべきですか。
- 資金と手続きの面では買取店です。
貸し付けの現金を寝かせる必要がなく、保管設備の基準もなく、許可は標準で約40日です。
ただしどちらを選んでも、品物に値段をつけられなければ成立しません。
貸す金額を決めるのも、買う金額を決めるのも、価値を見る作業は同じです。
この記事は2026年10月時点の質屋営業法および古物営業法の内容をもとに書いています。流質期限(質契約から3ヶ月未満で定めてはならない)は質屋営業法第16条第2項、期限前の受け戻しは第17条、質流れによる所有権の取得は第18条、保管設備の基準は第7条、利息の上限(年109.5%、うるう年は109.8%)は第36条による出資法の読み替えによります(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000158 )。質屋営業許可の申請手数料22,000円は京都府警察・長野県警察の案内、古物商許可の19,000円は各都道府県警察の案内によります。保管設備の基準は都道府県によって異なります。実際の手続きにあたっては管轄の警察署および専門家にご確認ください。