開業タイプ診断(2分)
お金と契約

買取店が続かない理由。集客不足ではありません。

買取店が1年から2年で閉じるとき、本人はお客様が来なかったからと言います。しかし数字を見ると、来店はあったのに買えていないことがほとんどです。閉じる店に共通する5つを、順番に書きます。どれも開業前に潰せます。

佐藤さん(開業を検討中)買取店って、なぜ続かずに閉めてしまう人が多いんですか?

先に結論安場さん
  • 買取店が続かない一番の理由は、集客不足ではなく、来店があったのに値段を言えず、買えていないことです
  • 閉じる店に共通するのは、買えない・在庫で現金が尽きる・売り先がない・固定費を先に大きくした・扱える商材が狭いの5つです
  • 月300万円買って7割が売れる例では、帳簿の粗利が63万円出ても、手元の現金は27万円減ります
  • 5つのうち4つは開業前に潰せます。
    残る「買えない」も、開業前に練習すればお客様の品物で練習せずに済みます

閉じる店に共通する5つ

閉じる買取店に共通するのは、買えない・在庫で現金が尽きる・売り先がない・固定費が先に大きい・扱える商材が狭い、の5つです。
いちばん多いのは1番目です。

1 来店はあったが、買えなかった

一番多い形です。
チラシを撒き、電話が鳴り、お客様が品物を持って来られる。
ところが値段が言えない。
調べても確信が持てず、安全側に振って安く言う。
お客様は他店へ行きます。

本人は集客が足りないと考えて、さらに広告費を足します。
すると来店は増えますが、買えない回数も同じだけ増えます。
広告費だけが積み上がって、粗利が追いつかない。
これで現金が尽きます。

避け方 広告を出す前に、買取率を見てください。
来店に対して何件買えているか。
ここが5割を切っているうちは、 集客を増やしても損が増えるだけです。
2 在庫にお金が変わって、現金がなくなった

買取業は先にお金を出す商売です。
利益が出ていても、売れるまでの間その現金は棚の上にあります。
毎月これが積み重なると、帳簿は黒字なのに残高だけが減ります。

特に危ないのが、粗利率の高い商材ばかりを選んだ場合です。
率は高くても、売れるまでに数ヶ月かかるものが混ざります。

避け方 在庫の上限を金額で決めてください。
棚の空きではなく、金額です。
そして換金の速い商材を柱にします。
貴金属は数日で現金に戻ります。
3 売り先を持たずに開けた

買うことばかり考えて、どこで売るかを決めないまま開業する。
するといくらで買えばいいかが計算できません。
買値の上限は、売り先の値段から逆算して出るものだからです。

結果、勘で値段をつけることになります。
高く買いすぎて赤字になるか、安く買いすぎて客が離れるか。
どちらに転んでも続きません。

避け方 許可の申請と同時に、売り先を決めてください。
古物市場に入るには行商をする旨の届出も要ります。
申請書の段階で関わってきます。
4 固定費を先に大きくした

路面の広い店を借り、内装を入れ、看板を出す。
買取が回る前に月々の支払いだけが確定します。

買取業は、開けた翌月から売上が立つ商売ではありません。
地域に知られるまで、早くても半年はかかります。
その半年を、固定費を払いながら耐えられるかどうかです。

避け方 自宅か小さな物件から始めて、出張買取を主軸にする。
買取が回るようになってから店を出す順番なら、耐える期間が要りません。
5 扱える商材が狭かった

金しか買えない店に、お客様は金だけを持ってきます。
いえ、正確には違います。
持ってきているのに、こちらが見ていないだけです。

同じ1件の来店でも、金だけを見る店と、時計も切手も宝石も見る店では、 1件あたりの金額が3倍変わります。
来店数はまったく同じです。

避け方 集客を増やす前に、1件から取れる幅を広げてください。
こちらは広告費がかかりません。

在庫で止まるときの数字

月に300万円ぶん買い、そのうち7割が売れる店では、帳簿の粗利が63万円出ていても、手元の現金は27万円減ります。
2番目の形を、数字で見ます。

項目金額
買取に出した現金−300万円
売れて戻った現金+273万円
粗利(帳簿上)+63万円
手元の現金の増減−27万円

帳簿では63万円の粗利が出ています。
しかし手元の現金は27万円減っています。
残りは在庫として棚の上にあります。

これが毎月続くと、半年で160万円ほど現金が消えます。
売れているのに苦しい、という感覚はここから来ています。
利益が出ているぶん、原因に気づくのが遅れます。

仕入れた品物を並べて在庫を確認しているところ
棚が埋まっているとき、そこにあるのは品物ではなく現金です。

開業前に潰せるもの、潰せないもの

5つのうち、4つは開業前に潰せます。

閉じる原因開業前に潰せるか開業前にやること
売り先を持たない潰せる許可の申請と同時に売り先を決める
固定費を大きくする潰せる物件を決める前に、小さく始める形を選ぶ
在庫で止まる潰せる在庫の上限の金額と、商材の構成を先に決める
商材が狭い潰せる許可を待つ40日で、扱える商材を広げる
買えない潰せない実物を手に取る回数を、開業前から積む

潰せないのは1番目、買えないことだけです。
これは知識ではなく、実物を手に取った回数で決まるからです。

ただし、これも開業前にやれば、お客様の品物で練習しなくて済みます。
開けてから覚えると、練習の相手は目の前のお客様になります。
安く買えば信用を失い、高く買えば赤字が出る。
どちらも取り返すのに時間がかかります。

買取業は、参入そのものは易しい商売です。
許可に試験はなく、資金も他業種より小さく済みます。
易しいのは入り口だけで、続けるかどうかは判断の精度で分かれます。

よくある質問

買取店が失敗する一番の原因は何ですか。
来店があったのに買えないことです。
値段を言えず、安全側に振って安く提示し、お客様が他店に移る形が最も多く見られます。
本人は集客不足だと考えて広告費を増やすため、買えない回数と広告費の両方が増えて現金が尽きます。
利益が出ているのに現金が減るのはなぜですか。
買った品が在庫として残っているためです。
買取業は先に現金を出して品物に変え、売れてから現金に戻る商売なので、帳簿の利益と手元の現金はずれます。
在庫の上限を金額で決め、換金の速い商材を柱にすることでずれを小さくできます。
開業してどれくらいで軌道に乗りますか。
地域に知られるまで早くても半年はかかります。
この期間、固定費を払いながら耐えられるかどうかが分かれ目です。
自宅や小さな物件から始めて出張買取を主軸にすれば、この耐える期間そのものが必要なくなります。
広告費はどれくらいかけるべきですか。
かける前に買取率を確認してください。
来店に対して何件買えているかです。
ここが5割を切っているうちは、集客を増やしても取りこぼしが増えるだけです。
業界の目安として広告費は買取額の3.5〜4%程度ですが、買えていない状態でこの比率を当てはめても意味がありません。
1件あたりの金額を上げるにはどうすればいいですか。
扱える商材の幅を広げることです。
同じ1件の来店でも、金だけを見る店と、時計や切手や宝石まで見る店では、1件あたりの金額が数倍変わります。
来店数は同じなので、広告費が増えません。
集客より先にこちらに取り組むほうが費用がかかりません。
開業前にできる準備は何ですか。
売り先を決めること、固定費を小さく設計すること、在庫の上限を決めること、扱える商材を広げることの4つです。
古物商許可の審査には約40日かかるため、この期間を準備に使えます。
買えるかどうかだけは実物を手に取った回数で決まるため、最も早く始めてください。
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この記事は当社および提携店の実例、ならびに業界の一般的な運営実態をもとに書いています。数字は目安であり、地域、商圏、扱う商材によって変わります。

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