開業タイプ診断(2分)
他業種からの参入

引越しで出る不用品を、処分から買取へ。

見積もりのときに「これは処分でよろしいですか」と聞いている品の中に、売れる物が混ざっています。処分費を頂いて運び、費用を払って捨てている。買い取れば、この流れが逆になります。許可の話から順番に書きます。

佐藤さん(開業を検討中)引越し屋さんが、不用品を買い取るにはどうすればいいですか?

先に結論安場さん
  • 引越しで出る不用品を買い取るには、運送の許可(貨物自動車運送事業)とは別に古物商許可が要ります。
    手数料19,000円、許可まで約40日です
  • 売れる品を処分から買取に回すと、処分費が減り、買取代金を差し引けるので、お客様への請求が下がります
  • 引越しの現場は持ち主が目の前にいる。
    買取に向いた条件です
  • 繁忙期は時間が取れません。
    貴金属と時計だけに絞るのが現実的です

運送の許可と買取の許可は別

引越しの許可では買取はできず、お客様の品を買い取って売るには古物商許可が別に要ります。
引越しは一般貨物自動車運送事業の許可(軽自動車なら届出)で行う仕事です。
これは荷物を運ぶための許可で、買取とは関係がありません。

お客様の荷物を買い取って自社の物にし、それを売るのであれば、 古物商許可が別に必要になります。

代金を払う、または請求から差し引いて引き取るなら、1円でも許可が要ります。
まったくの無償で引き取った物や、処分費を頂いて引き取った物を売るだけなら、許可は要らないと警察は案内しています。
ただ、「これは買い取ります」と値段をつけた時点で古物の取引です。

手続き自体は難しくありません。
管轄の警察署に申請して、19,000円と約40日。
すでにある法人でそのまま申請できます。

許可の取り方を詳しく 必要書類、費用、そして許可が下りるまでの約40日。 申請の流れを順番に書いています。
詳しく見る →

引越しの現場が買取に向いている理由

引越しの現場が買取に向いているのは、持ち主が目の前にいて、下見で家の中を見ていて、処分の相談を先に受けているからです。
他の業種と比べたとき、引越しには買取に有利な条件が3つあります。

  1. 持ち主が目の前にいる 遺品整理や空き家の片付けと違い、本人がその場にいます。
    買取には本人確認が要るので、これは大きな利点です。
    「これ、買い取れますよ」がその場で成立します
  2. 事前に下見をしている 見積もりの訪問で、家の中を一度見ています。
    当日いきなり判断する必要がありません。
    下見の時点で目星をつけておけます
  3. 処分の相談を先に受けている お客様のほうから「これ、どうしましょう」と聞いてくれます。
    営業しなくていい。
    ここが一番大きいかもしれません

不用品回収や遺品整理では、こちらから切り出す必要があります。
引越しはお客様のほうから相談が来る。
同じ買取でも、入り口の楽さがまったく違います。

見積書の構造が変わる

買取を足すと、売れる品のぶん処分費が減り、買取代金を差し引けるので、お客様への請求が下がります。
3人家族・2LDKからの引越しを1件と考えてください。

買取ができない場合
金額
引越し作業費3名・4トン車
150,000円
不用品の処分費家具・家電・雑貨
45,000円
お客様への請求
195,000円
買取ができる場合
金額
引越し作業費同じ
150,000円
不用品の処分費売れる物が抜ける
30,000円
買い取った品の代金貴金属・時計など
− 30,000円
お客様への請求
150,000円

請求は195,000円から150,000円になりました。
それでいて、こちらは買い取った品を売った利益が別に残ります。

引越しは相見積もりが当たり前の仕事です。
同じ作業内容で総額を下げられるなら、それだけで選ばれます。
しかも値引きと違って、こちらの利益は減りません。
むしろ増えます。

家庭の不用品を処分として運ぶには、市区町村の一般廃棄物の許可(または委託)が要ります。
処分は許可業者に任せる前提の数字です。
金額は現場ごとに変わるので、上の数字は構造を示すための一例です。
ただ向きは変わりません。

見積書に1行を足すだけです

新しいサービスを作る必要はありません。
いまの見積書の処分費の下に、買取の行を足す。
それだけです。

お客様から見ると、捨てるのにお金がかかると思っていた物にお金がつく。
印象がまるで変わります。

繁忙期にどう回すか

繁忙期は、貴金属と時計だけに絞って査定します。
3月と4月は、査定に時間をかけられません。
ここを無理すると、本業が回らなくなります。

繁忙期にやること 貴金属と時計だけ。
相場が公開されていて、重さと型番で判断できます。
1点あたり数分で終わります
繁忙期にやらないこと 家具・家電・ブランド品。
判断に時間がかかり、運ぶ手間も増えます。
閑散期に広げれば十分です

下見のときに「貴金属や時計で、処分をお考えのものはありますか」と一言聞いておく。
これだけで当日の段取りが決まります。

どの品目から始めるか

始めるのは貴金属から、次に腕時計です。
小さくて単価が高いものから始めます。

品目始めやすさ
貴金属最優先。
相場が公開され、重さで計算できます。
小さいので運搬の負担もありません
腕時計次に。
点数は少なくても1点が大きい。
動かない品でも値がつくものがあります
カメラ・レンズあり。
型番で相場が調べられます。
フィルムカメラはいま値が戻っています
ブランドバッグ慣れてから。
本物か偽物かの判断が要り、相場も動きます
家具・家電後回し。
かさばるうえ利益率が低い。
倉庫を持ってから考えることです

家具と家電から始めたくなりますが、そこは一番効率が悪いところです。
車の積載が減り、置き場所も要ります。
小さくて単価が高いものからが原則です。

買い始めたら、古物台帳と本人確認が要ります。
引越しの現場は本人がその場にいるので、本人確認は取りやすい条件です。
ただし記録の形は、始める前に作っておくこと。

買取業界専門家・安場さんの回答

お客様の家に上がる時に気をつけることとして、安場さんは「清潔感」を挙げています。
引越しの現場も、お客様のご自宅に上がる仕事です。
出張買取で家に上がる時の心得を、安場さんに聞きました。

買取業界専門家・安場さんの回答 出張買取で、お客様のご自宅に上がる時に、気をつけることは何ですか。

清潔感です。
靴、靴下、服装。
清潔感は意識しています。
これは大事です。

買取の形(店頭・出張・催事)ごとの費用の違いは、次の記事にまとめました。

買取の3つの形を、お金で比べる 店頭・出張・催事。買取の3つの形を、お金で比べる。
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よくある質問

引越し業者が不用品を買い取るには、どんな許可が要りますか。
古物商許可です。
引越しに必要な貨物自動車運送事業の許可は荷物を運ぶためのもので、買取とは別の許可になります。
管轄の警察署に申請し、費用は19,000円、許可が下りるまで約40日かかります。
既存の法人でそのまま申請できます。
処分品として無料で引き取る場合も、古物商許可は必要ですか。
まったくの無償で引き取った品や、処分費を頂いて引き取った品を売るだけなら、古物商許可は要らないと警察は案内しています。
お客様に代金を払う、または請求から差し引く形で引き取って売る場合は必要です。
無許可営業は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。
判断に迷う場合は管轄の警察署に確認してください。
買取を始めると、見積書はどう変わりますか。
処分費の下に買取の行が1つ増える形になります。
売れる品が処分の対象から外れるため処分費が下がり、さらに買取代金を総額から差し引けます。
結果としてお客様への請求額は下がり、こちらは買い取った品を売った利益が別に残ります。
値引きと違って利益が減らないため、相見積もりに強くなります。
繁忙期に査定の時間が取れません。
貴金属と時計だけに絞ってください。
相場が公開されていて重さや型番で判断できるため、1点あたり数分で終わります。
家具や家電、ブランド品は判断に時間がかかり運搬の手間も増えるため、繁忙期には向きません。
閑散期に広げれば十分です。
家具や家電から始めるのはどうですか。
おすすめしません。
かさばるうえに利益率が低く、車の積載が減って置き場所も必要になります。
買取は小さくて単価が高いものから始めるのが原則です。
貴金属であれば運搬の負担がほとんどなく、相場も公開されています。
引越しの現場は買取に向いていますか。
向いています。
理由は3つあります。
持ち主が目の前にいるため本人確認が取りやすいこと、見積もりの訪問で事前に家の中を見ていること、そしてお客様のほうから処分の相談をしてくれることです。
こちらから営業する必要がない点が、他の業種と比べて大きな利点です。
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この記事は2026年10月時点の古物営業法および貨物自動車運送事業法の内容と、買取および引越しの一般的な実務をもとに書いています。記載の金額は構造を示すための一例で、実際の相場や費用を保証するものではありません。無償や処分費を受け取って引き取った物の販売に許可が要らないことは愛知県警察の古物営業のよくある質問(https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/sonota/qanda.html、2026年10月8日確認)および警察庁の古物営業法等の解釈運用基準、無許可営業の罰則は古物営業法第31条によります。家庭の不用品の処分に市区町村の一般廃棄物の許可(または委託)が要ることは、環境省の案内(https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html)によります。許可の要否について判断に迷う場合は、管轄の警察署にご確認ください。

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